セルフホワイトニングの後に歯が痛い・しみる・歯ぐきがヒリヒリする場合は、いったん使用を中止してください。
セルフホワイトニングはサービスごとに使用する製品や方法が異なるため、症状の原因を「やりすぎによる知覚過敏」と自己判断することはできません。
痛みが強い、何もしなくてもズキズキする、噛むと痛い、歯ぐきのただれや腫れがある、症状が続く場合は歯科医院で確認しましょう。
また、施術直後に歯が不自然に白く見えても、一時的な乾燥によって色が明るく見えている場合があります。
すぐに追加施術をせず、まず歯を休ませることが重要です。
「セルフホワイトニングを続けていたら、急に歯がしみるようになった」
「照射後にキーンと痛くなった」
「歯がチョークのように白く見えるけれど大丈夫?」
このような状態になると、「歯を傷めてしまったのでは」と不安になりますよね。
ただし、セルフホワイトニング後に起こる症状には複数の原因が考えられます。
一般的な美容型セルフホワイトニングはサービスによって使用する製品や成分が異なるため、「セルフホワイトニングのやりすぎ=過酸化物による知覚過敏」ではありません。
もともとの虫歯・知覚過敏・歯のヒビ・歯ぐきの炎症などが関係している可能性もあります。
この記事では、セルフホワイトニング後に歯が痛い・しみる・白く濁って見える場合に、まず何をすればいいのか、どの症状なら歯科医院へ行くべきかを整理します。
KEIKO / 歯科衛生士
歯科衛生士。歯科領域の公的情報・専門学会・研究論文などを確認しながら、ホワイトニングや歯列矯正について分かりやすく解説しています。
セルフホワイトニング後に歯が痛い・しみるなら、まず使用を中止
セルフホワイトニング後に症状が出た場合、まず追加使用を止めましょう。
「もう1回やれば色ムラが整うかも」
「痛みが少し引いたから、続きをやっても大丈夫そう」
と考えて再開する必要はありません。
まずやること
- 使用しているホワイトニング製品をいったん中止する
- 口の中にジェル等が残っている場合は水ですすぐ
- 冷たい・熱いものなど、しみる刺激を避ける
- 歯を強くこすらない
- 症状の経過を確認する
使用した製品の説明書に、使用中止時の対応や相談窓口が記載されている場合は、その案内も確認してください。
痛みがある状態で別のホワイトニング製品を重ねない
症状が出たあとに、
- 別メーカーのジェル
- ホワイトニング歯磨き粉
- 重曹
- 酸を使ったDIYケア
- 海外製の高濃度製品
などを追加して「修正」しようとするのは避けましょう。
原因が分からない状態で刺激を追加すると、何によって症状が出ているのかも分かりにくくなります。
セルフホワイトニング後に痛む原因は1つではない
一般的な美容型セルフホワイトニングでは、使用製品が統一されていません。
そのため、痛みが出た原因も一律には決められません。
もともとの知覚過敏
普段から、
- 冷たい水がしみる
- 歯ブラシが当たるとしみる
- 歯ぐきが下がっている
といった症状がある人では、施術をきっかけに違和感を強く感じることがあります。
虫歯や歯のヒビ
もともと虫歯や歯のクラックなどがある場合、ホワイトニングとは別の原因で痛みが出ている可能性があります。
「セルフホワイトニングをした直後だから、全部ホワイトニングのせい」と決めつけないことが重要です。
歯ぐきへの刺激
ジェルなどが歯ぐきへ付着し、ヒリヒリしたり赤くなったりする場合があります。
特に、
- 歯ぐきが白くなった
- ただれている
- 腫れている
- 強いヒリヒリ感が続く
場合は使用を中止し、症状が続くなら歯科医院へ相談してください。
過酸化物を使用する漂白による知覚過敏
歯科用漂白材や過酸化物を含む一部のホワイトニング製品では、知覚過敏は代表的な副作用です。
アメリカ歯科医師会でも、過酸化物を用いた漂白では一時的な歯の知覚過敏や歯肉刺激が起こる場合があるとしています。
ただし、一般的なセルフホワイトニングがすべて過酸化物を使用しているわけではありません。
何を使ったのか分からないまま、「薬剤が神経まで届いた」と自己診断するのは避けましょう。
「チョークみたいに白い」「白く濁った」のはなぜ?
セルフホワイトニング後に、
「一部分だけ真っ白になった」
「チョークのように白く見える」
「白い斑点が急に目立った」
と感じることがあります。
これも原因を1つに決めつけられません。
歯が乾燥すると一時的に白く見えることがある
歯は乾燥すると、実際より明るく・白く見えることがあります。
人を対象にした研究では、歯を短時間乾燥させるだけでも視覚的に分かる色の変化が生じ、再び水分を含むことで色が戻っていくことが確認されています。
別の臨床研究では、乾燥後24時間の再水和によって、多くの歯で色の差が知覚しにくい範囲まで戻りました。
そのため、施術直後の「ものすごく白くなった」という見た目だけで、最終的な色を判断しない方がよいでしょう。
もともとのホワイトスポットが目立つ場合もある
歯にもともと白斑(ホワイトスポット)がある場合、周囲の色が変化したことで以前より目立つことがあります。
ホワイトスポットには複数の原因があるため、気になる場合は歯科医院で確認しましょう。
白い部分が残る・表面がザラつく場合は確認を
時間が経っても、
- 白い斑点が残る
- 以前にはなかったムラが目立つ
- ザラつきがある
- 痛みも伴う
場合は、追加のホワイトニングで隠そうとせず歯科医院へ相談してください。
知覚過敏用の歯磨き粉は使ってもいい?
過酸化物を用いた歯科ホワイトニングに伴う知覚過敏については、硝酸カリウムやフッ化物などを使った知覚過敏対策が研究されています。
システマティックレビューでは、硝酸カリウムを含む知覚過敏抑制剤によって、ホワイトニング時の知覚過敏のリスクや強さがわずかに低下したという結果があります。
ただし、効果の大きさは限定的で、知覚過敏用歯磨き粉を使えば必ず痛みが治るという意味ではありません。
普段使用できる知覚過敏用歯磨き粉を通常の歯磨きに使うことは選択肢ですが、
- 強い痛みがある
- 症状が悪化している
- 1本だけ痛む
- 何もしなくても痛む
場合は、歯磨き粉だけで様子を見続けないでください。
どのくらいで治る?日数だけで判断しない
過酸化物を使った歯の漂白で起こる知覚過敏は、一時的なことが多いとされています。
ADAでは、ストリップやトレー型の漂白で生じる知覚過敏について、治療開始後数日で生じ、終了後に改善することが多いと説明しています。
しかし、これは過酸化物等を用いた漂白についてのデータです。
一般的なセルフホワイトニングでは使用製品が異なるため、
「24時間で治る」
「48時間待てば大丈夫」
「3日までは放置してよい」
といった共通ルールにはできません。
経過時間だけでなく、痛みの強さ・痛み方・腫れや歯肉症状の有無で判断しましょう。
歯科医院を受診した方がいい症状
次のような場合は、追加施術をやめて歯科医院へ相談してください。
早めに歯科で確認したい症状
- 痛みが続く、または強くなっている
- 1本だけ強く痛む
- 何もしていなくてもズキズキする
- 噛むと痛い
- 冷たい刺激がなくても痛い
- 歯ぐきのヒリヒリやただれが続く
- 歯ぐきが腫れている
- 歯の一部だけ極端に色が変わった
- 歯が欠けている・ヒビが疑われる
顔の腫れや呼吸・飲み込みに異常がある場合
顔や口の周囲が急激に腫れる、息苦しい、飲み込みにくいなどの症状がある場合は、通常のホワイトニング後の知覚過敏として様子を見ず、速やかに医療機関へ相談してください。
歯医者では何を確認する?
「セルフホワイトニングをやりすぎたと言ったら怒られそう」と心配する必要はありません。
重要なのは、原因を判断するために使用した製品と症状を正確に伝えることです。
受診するときは、分かる範囲で、
- 使用した商品・サービス名
- 使用したジェル等の名称
- 1回の使用時間
- 何日・何回使用したか
- 痛みが始まった時期
- どの歯が痛いか
- 冷たい・熱い・噛むなど何で痛むか
を伝えましょう。
商品パッケージや成分表示が残っているなら、持参またはスマートフォンで撮影しておくと説明しやすくなります。
歯科では、
- 虫歯
- 歯のヒビ
- 知覚過敏
- 歯周組織の状態
- 歯肉への刺激
- 変色の状態
などを確認し、必要な対応を判断します。
2週間後にイベントがある場合はどうする?
「2週間後に結婚式やプレゼンがあるから、どうしても白くしたい」という場合でも、まず現在の症状を落ち着かせることを優先してください。
2週間あれば必ず元通りになる、さらにホワイトニングまで完了できるという保証はありません。
考え方は次の順番です。
1.症状がある間は追加ホワイトニングをしない
まず原因が分からない状態で追加刺激を加えないことが重要です。
2.痛み・しみ・歯ぐきの状態を歯科で確認する
期限があることも伝えましょう。
現在の状態を診たうえで、イベントまでにどこまでできるかを判断してもらいます。
3.ホワイトニングできる状態なら方法を相談する
歯科で問題がないと確認された場合には、オフィス・ホーム等を含めて方法を相談できます。
ただし、症状が出た直後に、
「セルフで失敗したから今度は強いオフィスを1回やれば取り戻せる」
と考える必要はありません。
歯の状態に応じて、ホワイトニングを見送る方がよい場合もあります。
4.白さより基本的な口元ケアを優先する選択肢もある
イベントまで時間が短い場合でも、
- 普段どおりの歯磨き
- 歯間清掃
- 必要に応じた歯科クリーニング
- 口や唇の乾燥対策
などで清潔感を整えることはできます。
無理に漂白を追加することだけが選択肢ではありません。
再発を防ぐ|セルフホワイトニングでやりすぎないための5項目
1.製品の使用回数・時間を自己判断で増やさない
「長く当てればもっと白くなる」
「1日2回なら倍早く白くなる」
とは限りません。
製品に定められた使用方法を超えて使用しないでください。
2.複数のホワイトニング製品を同時に重ねない
ジェル、歯磨き粉、シートなどを複数使用すると、どの製品で症状が出たのか分からなくなります。
3.痛みが出たら追加使用しない
痛みを「効いている証拠」と考えるのは誤りです。
4.白くならない場合は回数より原因を確認する
天然歯そのものの色、歯石、詰め物・被せ物、1本だけの変色などは、一般的なセルフケアを繰り返しても解決しない場合があります。
5.天然歯そのものを白くしたいなら方法を比較する
表面着色ではなく、天然歯そのものの色を現在より明るくしたい場合は、歯科管理下のホワイトニングを比較しましょう。
セルフホワイトニング後の痛みについてよくある質問
セルフホワイトニングをやりすぎると歯が溶けますか?
「セルフホワイトニング」という名称だけでは使用製品が分からないため、一律には答えられません。
一般的な美容セルフ、歯科管理下の漂白、海外製品などを同じものとして扱わないことが重要です。
使用した製品を確認し、症状がある場合は歯科医院へ相談してください。
歯がしみるのは知覚過敏ですか?
知覚過敏の可能性はありますが、自己判断はできません。
虫歯、歯のヒビなどでも似た症状が出ることがあります。
痛みが少し引いたらセルフホワイトニングを再開していいですか?
すぐに再開することはおすすめしません。
原因が分からない状態で同じ製品を再使用すると、症状が再び出る可能性があります。
再開したい場合は、製品の使用方法を確認し、症状が強かった場合は歯科医院へ相談してください。
歯が施術直後だけ真っ白になりました。傷んでいますか?
必ずしも歯が傷んだとは限りません。
歯は乾燥すると一時的に明るく見えることがあり、再水和によって色が変化します。
ただし、白い斑点やムラが残る、表面に異常がある、痛みを伴う場合は歯科医院で確認してください。
知覚過敏用歯磨き粉を塗って放置すれば治りますか?
製品ごとの使用方法を守ってください。
知覚過敏対策成分には症状軽減が期待されるものがありますが、歯磨き粉だけで原因そのものを診断・治療できるわけではありません。
歯が痛いときにオフィスホワイトニングへ切り替えれば大丈夫ですか?
先に歯科医師による診察を受けてください。
痛みがある状態で、さらに漂白を行うことが適切とは限りません。
セルフホワイトニングを中止すると以前より黄色くなりますか?
中止したこと自体で、元の天然歯より黄色くなるとは限りません。
一方、歯の色は着色や加齢などによって時間とともに変化することがあります。
2週間後に大切な予定があります。間に合いますか?
症状や歯の状態によるため、「2週間あれば大丈夫」とは言えません。
まず痛み等の原因を確認し、そのうえでイベントまでにできる方法を歯科医院で相談してください。
まとめ|痛みが出たら「もっと白くする」より一度止める
セルフホワイトニング後に歯が痛い・しみる場合のポイントをまとめます。
- 症状が出たらいったん使用を中止する
- 別のホワイトニング製品を重ねない
- 一般的なセルフでは使用製品が統一されていないため原因を決めつけない
- 過酸化物による歯科漂白では一時的な知覚過敏が代表的な副作用
- 虫歯・ヒビ・もともとの知覚過敏など別の原因もあり得る
- 歯の乾燥によって一時的に白く見えることがある
- 強い痛み・自発痛・噛んだ痛み・歯肉症状などがある場合は歯科へ相談する
- 2週間後に予定があっても、追加施術より現在の症状確認を優先する
「やりすぎてしまったかも」と感じたときに大切なのは、さらに白くして帳尻を合わせようとしないことです。いったん使用を止め、症状が続く場合は使用した製品が分かる状態で歯科医院へ相談しましょう。
参考情報
- 日本歯科医師会「お口のなんでも相談 ホワイトニング」
- 国民生活センター「審美歯科(1)歯のホワイトニングの施術方法・注意点」
- 一般社団法人 日本歯科審美学会「歯のホワイトニングについて」
- American Dental Association「Whitening」
- Topical application of a desensitizing agent containing potassium nitrate before dental bleaching: a systematic review and meta-analysis
- In-office tooth bleaching protocols: an umbrella review of systematic reviews and meta-analyses on whitening efficacy and tooth sensitivity
- Clinical effects of dehydration on tooth color: How much and how long?